アトピー性皮膚炎
発症機序や原因、治療法など、アトピー性皮膚炎をめぐる情報が錯綜している。
ステロイドパッシング
1997年頃、ステロイド外用剤に関する誤解が一般に広がり、脱ステロイド療法といった言葉」がマスコミをにぎわせた。
「今までの治療は間違っていた。体質を変える方法がある」とセンセーションに宣伝するのが民間療法の常套手段である。民間療法の多くは{ステロイドを使わない}ことを錦の旗に揚げることが多くその影響から病院で患者様が{ステロイドを使いたくない}としていたずらに症状の蔓延化をまねいているケースが多いのが現状である。
治療の目的:遺伝的な皮膚素因を根本的に治すのではなく、悪友ではあるが、上手に友達付き合いをして社会生活に支障のないようにコントロールすることである。
なぜステロイド外用薬を使うのか?
A:アトピー性皮膚炎の皮膚症状は炎症である。
原因がアレルギーであれ非アレルギーであれ究極的には湿疹という皮膚炎症が起こっていることを忘れてはいけない。その炎症を抑えるために抗炎症薬としてステロイドを最も効果的にかつ副作用の少ない手法で投与するというのがステロイド外用薬の出発点である。
しかしアトピー性皮膚炎のドライスキンに起因する非炎症性病変あるいは皮膚過敏症に基づく一次刺激性炎症に対してはスキンケアで対応すべきで、副作用を考慮して、すべての病変にステロイド外用薬を画一的に使用すべきではないことに留意する必要がある。
ドライスキンだけでアトピー性皮膚炎が起こるわけではないので、スキンケアだけでアトピー性皮膚炎がコントロールされるものでないことを再確認する必要がある。
?アトピー性皮膚炎の皮膚症状は炎症を放置することのデメリット(弊害)
アトピー性皮膚炎の皮膚症状は炎症で放置すると白内障や網膜剥離などの眼科的合併症が増加する。アトピー性皮膚炎患者の11.7%に典型的な白内障を認め発疹の重症化に伴い急速に進行するとの報告がある。
また炎症があればかゆみが出現し掻破の繰り返しが苔癬化を助長しますます病変が難治化する。このような視点から炎症を抑制することの意義、炎症を放置することの弊害は誰の目にも明らかである。
成人のアトピー性皮膚炎が治りにくい最大の原因はステロイド恐怖症を背景に、適切な治療を受けなかったことに尽きる。
?ステロイド恐怖症。
ステロイドを中止した患者に起こってくること白内障や網膜剥離などの眼科的合併症が増加する。
アトピー性皮膚炎と白内障の合併頻度
ステロイド外用薬が許可され副作用があまり注目されなかった1960年代に白内障が最も低いが、ステロイド外用薬が許可される以前(1950年以前)と1980年代以降での白内障合併頻度がほとんど差がないことは注目すべきである。
ステロイド外用薬を中止すると白内障や網膜剥離などの眼科的合併症が増加する。
網膜剥離は近年増加しているが都市部ことに東京に集中している。
これは一体何を意味しているのでしょうか?
都市部ではステロイド恐怖症のアトピー性皮膚炎患者様が多くステロイド外用剤を拒否される方が多く皮疹の増悪を招きそれが眼症状を悪化させている可能性を示唆していると考えられる。

ステロイドも万能薬ではなく過大評価は慎むべきである。
ステロイド外用薬に求める主作用は抗炎症作用、抗アレルギー作用である。
免疫抑制作用、ホルモン作用、細胞増殖抑制作用は望ましくない作用で副作用になりうる。求められる主作用と望ましくない作用(副作用)との間隙がステロイド外用薬の安全域となる。
|
| 過去の治療および指導方法は正しかったか? |
●アトピー性皮膚炎の臨床 過去から未来へ |
|
| |
過去の治療および指導方針は正しかったか? |
| |
過去 |
現在・未来 |
| |
|
ステロイド外用剤中止後はNSAIDsに切り替える |
|
NSAIDsの使用は好ましくない
タクロリムスとの併用がのぞましい |
| |
|
ステロイド外用剤は危険 |
|
ステロイド外用剤の急激な中止は危険 |
| |
|
抗菌薬、消毒薬は有用 |
|
抗菌薬、消毒薬は有用性は確認できない |
| |
|
汗をなるべくかかないようにする
入浴はシャーワーのみにする
|
|
汗はある程度かいても問題ない
入浴はしっかりと浴槽につかる |
| |
|
ストレスは皮疹を悪化させる |
|
皮疹を悪化させるストレスもあるが、すべとをストレスのせいにしない |